秀808の平凡日誌

第弐話 忠誠


 …先ほどのスウォームの攻撃で、街はパニック状態に陥った。

 なんだなんだと音を聞いて家からでてくる住民達。

「…なんだ?今の爆音は…?」

 その中には、今はここで暮らしているファントム・クラウンの姿もあった。

「…嫌な予感がする…」

 彼は『カースドブラッド』を片手にもち、北門へ向かった。




 …北門では、激しい攻防戦が繰り広げられていた。

 いや、攻防というよりは、兵士側の一方的な攻撃…とも見える。

 門の下方に取り付けられた巨大な弓『バリスタ』が火を噴き、アーチャー達の矢による鋭い一撃が炸裂していた。

 だが、スウォームはその猛攻を物ともしない。

 アーチャー達の放った矢はことごとく、その強靭な鎧…というよりは甲殻に近い皮膚に弾かれ、擦り傷すらつけることができない。『バリスタ』も同様だった。

 門の上で応戦していた兵士の一人が叫ぶ。

「隊長!弓も『バリスタ』も全く効きません!どうすれば…」

「…『滅龍砲』を持ってこい!いくらなんでもアレは効くはずだ!早く!」

「しかし、あれは射程に問題が…」

「こんだけ近づかれて当たらないわけが無いだろう!早く持ってこい!」

 

「…ナンダ?アノ筒ハ…」

 スウォームは飛行しながら、兵士達の持ってきた大砲に目を向けた。

「…マタ、人間達ノ貧弱ナ兵器カ…」

 発射しようと、兵士の一人がかけより、弾を込めるのが見えた。

 …面白イ。ドノ程度ノ破壊力カ…

 …我体デ、実証シテクレル。

 そして、運命の砲撃は放たれた。


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